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2018年3月

2018年3月 6日 (火)

症状に応じた認知行動療法の練習方法:「強迫的緩慢」の人 30

症状に応じた認知行動療法の練習方法として、「強迫的緩慢」の人を述べます。

なおボランティア活動で、無料のメールカウンセリングをカウンセラーの中島が行っています。ご希望の方は、下のメールアドレスをクリックしてください。リンクします。
⇒  believer-will@true.ocn.ne.jp

「強迫的緩慢」の認知行動療法について述べます。

強迫的緩慢の人は、洋服を着るのに2時間も掛かる人がいます。さらには、洗面にも同じぐらい掛かります。

そのような人は先ず普通は着がえや洗面にどれぐらい掛かるかを、確認してください。その時間を、強迫的緩慢の自己治療法の目標にします。

神経症の認知行動療法にはエクスポージャーや、反応妨害を用いることは多いのです。しかし強迫的緩慢の人に対してはエクスポージャーや、反応妨害は有効性がありません。強迫的緩慢の自己治療法には、命令と行動形成が有効です。

強迫的緩慢の人に対する命令とは、決められた時間でものごとを行うことの、合図や支持をすることです。同様に行動形成とは、行動に必要な時間を少しずつ短縮していくことです。

それをノイローゼの強迫的緩慢により食事のときに、いつまでも椅子に座れない人をモデルにして述べます。その場合は、先ず協力者は自分で椅子に座ってください。それが、強迫的緩慢を解決するためのきっかけになります。

さらに協力者は命令として、決められた時間内に椅子に座るように支持をします。同様に行動形成としては、その座るために必要な時間を少しずつ短縮していきます。このように協力者は命令と行動形成に参加します。そのために、協力者は毅然とした態度が必要です。その毅然とした態度こそが、行動を変えるための土台になります。

なおそのとき強迫的緩慢の人自身は、運動会を思い出してください。運動会では、できるだけ速く走りました。同様に、できるだけ速く座ってください。協力者は命令としてその決められた時間を短縮するように支持し、行動形成としてはその短縮された時間をさらに目標に近づけます。

そのときはストップウオッチを用いてください。決して、勘に頼ってはいけません。客観的な事実に基づいて、練習は進められるべきものです。

さらに「強迫的緩慢」の解決には、運動会の賞品のようなものも必要です。目標時間内に目標を達成したら、何か賞品を自分に対して与えてください。それは運動会の賞品と同様に、自分にファイトを与えます。

強迫的緩慢の人の自己治療は命令と、行動形成が中心となります。

最初はあなたのお困りの「強迫的緩慢」の、時間を計ってください。そしてその時間から、目標時間を決めてください。その目標時間は、いまそのことにかかる時間の80%ぐらいが適切です。それを目標にしてください。

しかしそれが不可能なときは、90%ぐらいを目標にしてください。そこから練習をスタートして、目標に近づけます。

ただしそれはとても不安を、ともないます。それを現実に、受け入れてください。そして目標を達成してください。これが「強迫的緩慢」の認知行動療法の、成功のポイントです。

次は、神経症の「強迫行為のない強迫観念」について述べます。

2018年3月22日 (木)

症状に応じた認知行動療法の練習方法:「強迫行為のない強迫観念」の人 31

症状に応じた認知行動療法の練習方法として、「強迫行為のない強迫観念」の人を述べます。

なおボランティア活動で、無料のメールカウンセリングをカウンセラーの中島が行っています。ご希望の方は、下のメールアドレスをクリックしてください。リンクします。
⇒  believer-will@true.ocn.ne.jp

神経症の「強迫行為のない強迫観念」とは、自分自身の観念に苦しむ神経症です。あなたは踏切で電車が通過するときに、「自分は電車にとび込むかもしれない」と考えたことはありませんか?

このようなものが、「強迫行為のない強迫観念」の内容です。しかし多くの人は、このような考えに支配されることはありません。逆に神経症の「強迫行為のない強迫観念」の人は、それに支配されてしまいます。その自己治療の目標は、このような強迫観念を素通りして次の行動をできるようになることです。強迫観念に支配されないことです。

神経症の「強迫行為のない強迫観念」の人は、踏切で電車が通過するときに、「自分は電車にとび込むかもしれない」という考えに支配されてしまいます。

その認知行動療法はエクスポージャーと、反応妨害からなります。エクスポージャーは、踏み切りの前に立つことです。反応妨害は、できるだけ長い時間その場所にいることです。

この場合も協力者は必要です。
エクスポージャーとして、踏み切りの前に立つことを、協力者は励ましてください。さらに反応妨害として、協力者はできるだけ長い時間その場所にいるようにサポートしてください。

さらに神経症の「強迫行為のない強迫観念」の認知行動療法では、工夫も大切です。
ある人は建物の天井が落ちてくるかもしれないという考えに、苦しんでいました。その人は協力者とともにプールや体育館のような、天井のあらわな建物に行くことにしました。そして、神経症の「強迫行為のない強迫観念」を克服しました。

神経症の「強迫行為のない強迫観念」の人は、苦しんでいる観念から逃げないで直面してください。「強迫行為のない強迫観念」の内容にもよりますが、30分間直面すれば自然に強迫観念は消えていきます。

ある学校の先生をモデルにさらに述べます。この人は、自分が結核ではないかと心配でした。それは自分が結核であった場合、その結核が生徒に伝染することを恐れたからです。

この人に対する認知行動療法は、協力者とともに段階的に直面する方法を用いました。
先ず協力者が結核に対する注意の書かれた医療機関の、パンフレットに触れて読みました。それは本人はそのパンフレットに以前、結核の人が触れて結核菌が付いていると恐れたからです。さらに、そのパンフレットにも本人を恐れさせる内容が書かれているからです。

すなわち不安から逃げないでそれに直面するために、協力者は結核に対する注意の書かれた医療機関の、パンフレットに触れて読んだのでした。次は同様に、本人が結核に対する注意の書かれた医療機関の、パンフレットに触れて読みました。

さらに本人が結核の人が触れたと考えるドアのノブにも、同様に触れました。このようにして、不安に段階的に直面しました。

さらにこの練習と同時に、認知に関する自己治療法も行いました。「強迫行為のない強迫観念」の人は、認知そのものにさらに重心を置く必要があるからです。それにより強迫観念を、消失させます。

最初に認知そのものに重心を置く方法を述べ、さらに原因である間違えた思い込みを修正するための方法を述べます。その方法は、現実を歪めないで客観的に考えることができるようにします。その結果、現実にそくして自分自身で困難を解決する力を付けます。

「強迫行為のない強迫観念」の人の認知に重心を置く自己治療法のスタートは、不安を日記に記録することです。

その日記にはあなたの不安はいつ、どこで、どのぐらい起こり、そのときどうなったかを書いてください。それが、現実を歪めないで客観的に考えるための第一歩です。

さらに不安が起きた後の自分の感情と、そこからスタートした行動を記録してください。多くの女性は不安に耐えられずに、過食にはしります。過食に逃げないで本当の意味で解決するための第一歩は、日記に書くことです。

ある人は、「自分は学校で孤立しそれがずっと続くという神経症の『強迫行為のない強迫観念』」に苦しんでいました。

それを解決するための第一歩として、日記をスタートしました。そしてその「強迫行為のない強迫観念」は、自分の部屋にいるときが最も強いことも分かりました。それは「むなしさ」を、もたらしました。

この人も多くの神経症の人と同様に、「この苦しみはずっと続く」と考えました。さらに、神経症の女性の人に多いのですが過食にはしりました。

この日記から強迫観念のきっかけ、その結果、思考の流れ、最終的な行動が把握されました。強迫観念は自分の部屋にいることがきっかけとなり、そしてその結果は「むなしさ」をもたらし、「この苦しみはずっと続く」と考えるという思考の流れが把握されました。最終的な行動としては、過食にはしりました。これに基づいて、自己治療プログラムを作成しました。

この人の自己治療プログラムは、強迫観念の起きるのは自分の部屋だということからスタートしました。それは特に、帰宅直後に強いことも考慮されました。

先ず大切なことは、「孤独感はずっと続くと思い込まない」ことです。神経症の人は、いまの困難はずっと続くと思い込みがちです。そしてそれこそが、強迫観念のリハーサルになってしまうのです。

そこで、現実を考えてみました。この人は学校以外では友人もいましたし、学校でも活動的なときもありました。しかしそれも、自分で否定していたのです。だがそれを思い出し、孤立が続くという思い込みを解いていきました。

さらには、学校以外での友人と会う予定表を作成しました。同様に、この予定表も孤立が続くという思い込みを解いていくことに役だちました。

なおこの人は自分の部屋で孤立感を深めますから、一人で自分の部屋にいるときは本を読むとか音楽を聴くようにしました。それにより、孤立感をストップさせました。

さらにそれは、応用されました。この人は強迫観念に苦しむと、過食にはしりました。しかし過食しそうになったら、本を読むとか音楽を聴くようにしました。それにより、強迫観念をストップさせました。

このことは大切です。その理由を述べます。
神経症の人は不安になると、その不安を解決するために過食のような非生産的なことによってその不安を解決しようとします。その結果、さらに不安を深めてしまいます。それに対して本を読むとか音楽を聴くことは、不安を生産的に解決する方法だからです。

思い込みを解くための認知療法は、先ずその不安を日記に書くことからスタートしました。その不安を記録する日記は、6項目からなります。神経症の「強迫行為のない強迫観念」の人は、その6項目について記録してください。

その不安を記録する日記の6項目の中の最初の1項目は、「いつ、どこで自分は不安になるか?」です。人によっては夜一人になると不安になったり、月曜日になり出勤しようとすると不安になる人もいます。また、逆に何もすることがないと不安になる人もいます。

次の第2項目は、「その不安のお起きるきっかけになる特定の出来事はないか?」と言うことです。ある人は、自分が人から無視されたと思われたときに不安になります。たとえば自分が人から無視されたと思われたときに不安になったり、人を怒らせたかもしれないと思われたときに不安になる人も多いです。そのことを日記に記録してみてください。

次の第3項目は、「不安になる直前の自分自身の気持ちは何か?」ということです。多くの場合、神経症の人は「~なことが起きたらどうしよう」と心配し、その気持ちに支配されていることが、多いのです。しかし、現実にこれは自分自身で不安のリハーサルをしているのと同じことです。

次の第4項目は「そのときにより具体的にはどのようなことが起きたら、こころのバランスを崩すと思うか?」ということです。多くの場合、神経症の人は現実にはなりえない事を心配し、その重みにつぶされているのです。

第5項目は、「不安になった後、どのようなことをすることが多いか?」です。多くの場合、神経症の人は不安になった後でその不安を忘れようと考えて行動して、逆に不安は大きくなりその結果、つぶされてしまうのです。多くの場合アルコールや、過食にはしりつぶされてしまいます。

よって第6項目として、「不安になりその不安から逃げようとしたとき、どのような気持ちだったか?」も、日記に記録してみてください。今まであなたはどのような気持ちで、何によって不安から逃げようとしましたか? それを書いてください。そしてこれからは不安から、逃げないでください。

神経症の人は、不安から逃げようとします。これからは不安から、逃げないでください。そのためには、そのときの自分の気持ちとそこから起きた行動を記録する日記が必要です。その日記を用いて、あなたが不安から非生産的なことへ逃げその結果、悪循環に入ることも防げます。

もしあなたが神経症の不安から非生産的なことへ逃げたくなったら、そのことの無意味さを日記により、より深く理解することが出来ます。それにより不安から逃げることの無意味さを自覚して、不安から逃げることをストップさせるのです

アルコールに逃げがちな人はそのメリットとデメリットを、過去の日記から考えてください。そしてアルコールの持つデメリットから、不安から逃げることの無意味さを自覚して、不安から逃げることをストップさせるのです。

少なくとも1時間は、不安から逃げないでください。その1時間の間に、これから述べる10種類の方法を行ってください。そうすれば、不安は消えます。もしくは、小さくなります。

神経症の「強迫行為のない強迫観念」を解決する10種類の認知療法について述べます。

その第一の方法は、あなたに不安を起こさせる思考を知ることです。その思考を知れば、不安を客観化できます。その結果、不安に巻き込まれなくなります。

認知療法では、神経症的な不安に陥るのはその人の認知の歪みにあると考えます。誰もあなたを、神経症的な不安にさせることはできません。最終的には、あなたの認知の歪みが神経症的な不安の根底にはあります。その認知の歪みは、17種類あります。

その認知の歪みの、第一を述べます。それは、『人の心を読む』ことです。これは正確には、『人の心を否定的に読む』ことです。これは具体的には会議で自分が発言したときに、「自分の発言はダメだった」と決め付けることです。それを客観的に裏付けることがないのに、否定的に現実を読み自分で決め付けます。

次は、認知の歪みの第二を述べます。
認知の歪みの第二は『将来を予測する』ことです。これも正確には、『将来を否定的に予測する』ことです。

これは学生がテストで本当はかなりの高得点をしていながら、小さなミスにこだわりテストは全部ダメだったと思い込むことです。同様に社会人であれば、会議で発言したことの小さなミスにこだわり自分の発言は全部ダメだったと思い込むことです。 その第三の歪みは第二の歪みと、関係の深いものです。 それは『すでに起こり、これから起こることは自分を破滅させるようなことだけだと考える』ことです。

これは第二の歪みを、極端に延長した結果です。これは、ゆううつの原因にもなります。

次の第四の歪みは『ラベリングーラベルを貼る』ことです。これも正確には、『ラベリングー自分自身や他者に対して否定的なラベルを貼る』ことです。 これは「私は人から無視されて当然だ」や、「人は、みんな冷たい」というものです。

次の第五の歪みは『ものごとを割り引いて考える』ことです。 これも正確には、『ものごとを否定的な考えのもとに割り引いて考える』ことです。

これは学生がテストで高得点をしていながら、テストの問題そのものが易しかったからだという否定的な考えのもとに事実を割り引いて考えることです。また同様に社会人が優れた業績を上げても、これぐらい誰でもできるという否定的な考えのもとに事実を割り引いて考えることです。 次は、第6の認知の歪みについて述べます。これも第五の認知の歪みに、関係しています。 その第六の歪みは『ものごとを否定的に解釈する』ことです。 これも正確には、『ものごとを否定的に決め付けて解釈する』ことです。

たとえば『渡る世間に鬼はなし』という言葉を理想論にすぎないと、『深い知恵を否定的に決め付けて解釈する』ことです。その結果、『人を見たら泥棒と思え』のみが正しくなってしまうのです。これでは生きることは、難しくなってしまいます。

結局、その人はこころの中で常に泥棒と一緒にいるのです。そのために生きることはとげとげしくなり、同時にあじけなくなります。

認知の第七の歪みは『ものごとを一般化する』ことです。 これも正確には、『ものごとを否定的に決め付けて一般化する』ことです。 この認知の歪みは、「誰にでも良くないことはたまにはあるのに、それがいつも自分にはあると思い、それを否定的に決め付けて一般化する」ことです。 たとえば、ある学生は学校で試験のときに印刷ミスの問題用紙がたまたま自分に配付されました。そのときに、このようなことは自分にはよくあると否定的に決め付けて一般化したのです。そして、もうダメだと思い込みました。

次の第八の認知の歪みは『ものごとを○か×かと極端に考える』ことです。これも正確には、『ものごとを○か×かと否定的な方向に決め付けて極端に考える』ことです。 これはたとえば「自分のした事は結局、くたびれもうけにすぎない」とか、「自分は皆に嫌われている」と、ものごとを○か×かと否定的な方向に決め付けて極端に考えることです。

次の第九の認知の歪みは『ものごとを~しなければいけないと考える』ことです。これも正確には、『ものごとを絶対に~しなければいけないと考える』ことです。 これはものごとをありのままに見るのではなく、「ものごとはどうあるべきか」という視点でのみ考えていくことです。その結果、自分自身を実現不可能な要求という迷路から抜け出せなくしてしまいます。 たとえば、学生であればレポートには絶対にミスがあってはいけないと考えることです。また社会人であれば、会議での発言は絶対に非の打ちどころのないものでなければいけないと考えることです。そしてこの考えこそが、迷路の入り口であることが多いのです。

次の第十の認知の歪みは、『悪い結果になったことを自分の責任と考える』ことです。これも正確には、『悪い結果になったことをすべて自分の責任と考える』ことです。 ものごとがスムーズに進まないのは、自分にも責任はあります。しかし、それだけではありません。しかしそれを考慮することなく、すべてのミスを自分で背負い込むのです。 たとえば野球の選手が試合で勝てなかったことを、すべて自分のミスのためと背負い込むことです。これは自分自身を、迷路に入れてしまいます。

第11の認知の歪みは、第10の認知の歪みの逆です。第11の認知の歪みは、『悪い結果になったことを人のせいと考える』ことです。これも正確には、『悪い結果になったことをすべて人のせいと考える』ことです。 このようにまったく逆に、神経症の人はものごとを考えがちです。

なぜこのように、まったく逆に神経症の人はものごとを考えがちなのでしょうか?
それは神経症の人はものごとを行うときに、その行為の真の主体となれないからです。自分自身でものごとを決定することよりも、周囲に対する配慮が優先するからです。よって自分がすべて悪いか、人がすべて悪いかになってしまいます。これがまったく逆に、神経症の人がものごとを考えがちな理由です。多くの神経症の人は、いま自分がみじめなのは人のせいと考えがちです。その結果、さらに迷路をさ迷ってしまいます。

次の第12の認知の歪みは、『非現実的な自分を比較をする』ことです。これも正確には、『非現実的な理想像と自分を比較する』ことです。

これは自分を野球の選手と比較するときにイチロウ選手と比較したり、高校の生徒会長に立候補するのに総理大臣と自分を比較するようなことです。

このように、神経症の人は『非現実的な理想像と自分を比較する』のです。そしてその結果、劣等感に苦しむことになります。

 

次の第13の認知の歪みは、『過去の出来事を後悔する』ことです。これも正確には、『過去の出来事だけを考えて後悔する』ことです。

ある人は、十年間ぐらいある人に対して「あんなことをしなければよかった」と後悔していました。十年後その人に会い、そのことを話しました。そうしたら、相手はそのことをおぼえていなかったのです。結局、その人は十年間は無駄なことを考えていたと言えます。

またある人は、半年ぐらい前にある人に対して「あんなことを言わなければよかった」と後悔していました。つい先日その人に会い、そのことを話しました。そうしたら、相手はそのことをおぼえていなかったのです。結局、前述の人と同様に半年間は無駄なことを後悔していたといえます。

この考え方により、「いま、本当にしなければいけないこと」が抜けてしまいます。その結果、人生は前へ進まなくなってしまいます。

次の第14の認知の歪みは、第13の認知の歪みの逆です。すなわち第13の認知の歪みは過去のことに対するものですが、第14の認知の歪みは将来のことです。 その第14の認知の歪みは『将来を心配する』ことです。これも正確には、『将来を非生産的に心配する』ことです。

たとえば道を歩いているときに看板が落下してくることを心配して、外出しなくなることは将来を非生産的に心配することです。その人は、非生産的な心配に拘束されているのです。

第15の認知の歪みは『感情的に決めつける』ことです。これも正確には、『感情的に否定的に決めつける』ことです。

その「感情的決めつけ」とは、「こんなに自分は心配なのだから、何か恐ろしいことが起きているに違いない」と決めつけることです。この「感情的決めつけ」というメカニズムは、心配を感情的に固定化します。

第16の認知の歪みは『マイナスの考え方から抜け出せない』ことです。これも正確には、『マイナスの考え方の不合理さが分かっても抜け出せない』ことです。

たとえば電車の中で自分のために人が親切に席を譲ってくれても、その親切にしてくれた人には「その人なりの計算」があるかもしれないと考えることです。そしてこの考え方を自分自身で不合理だと分かっても、引きずられてしまいます。この認知は、自分自身をさらに苦しめてしまいます。

第17の認知の歪みは『柔軟に考えられない』ことです。これも正確には、『柔軟に考えるゆとりがない』ことです。

これはものごとを善悪や優劣というフレームに入れて考えるだけで、柔軟に考えるゆとりがないことです。

現実を、自分の持つ善悪や優劣というフレームに入れて判断してしまいます。その結果、ありのままに事実を受け入れることはできません。現実を、自分の持つ善悪や優劣というフレームに入れて判断します。そして、それは自己否定的です。たとえば「どうせ、自分はダメなんだ」とか、「せいぜい人なみにできれば良い」というものです。その結果、生きる幅は狭くなってしまいます。

大切なことは、先ず自分自身の認知の歪みに気付くことです。そして最も大切なことは、その認知の歪みに対処することです。

次は、認知の歪みに対処する方法を述べます。

 

認知の歪みに対処する方法

認知の歪みに対処する方法は、9種類あります。それは自分自身に対して質問し、解答する方法です。

認知の歪みに対処する方法の第一は、次の質問です。「あなたの心配が、本当に起きる確率は何%ぐらいですか?」これが、スタートの質問です。この質問に対して、何%ぐらいか考えてください。さらには、その理由も考えてください。[

第二の質問は、結果の予想です。これは、三種類あります。その三種類は最悪の結果、最善の結果、最も妥当な結果それぞれの予想です。

この中の最悪の結果の予想とは、具体的には次の質問をします。「あなたの心配していることが、最も悪い方向へ進んだらどのようなことになりますか?」この質問に対して、より具体的に回答するのです。

悪い方向へ進むことを、神経症の人は常に心配しています。よってそれを文章にして、客観化することの意味は大きいのです。

次は、最善の結果の予想です。その最善の結果の予想とは、次の質問です。
「あなたの心配していることが、最も望ましい方向へ進んだらどのようなことになりますか?」この質問に対し回答し、否定的な考えの方向転換をはかります。

最後の、最も妥当な結果の予想は次の質問に対し回答するのです。
「あなたの心配していることが最も妥当性のある、起こりそうな方向へ進んだらどのようなことになりますか?」この質問は、心配を現実と照らし合わせるためのものです。

第三の認知の歪みに気付き対処するための質問について述べます。
その質問は、「あなたのお困りのことが、これから最も良い結果に至るストーリーを考えてください?」と、いうものです。

これは一枚の紙に、自分の心配事がこれから最も良い結果に至るためのストーリーを考えて、書いていくのです。次にそのストーリーを、検討していきます。その検討方法は、大きく二つあります。

その一つはその最も良い結果に至るためのストーリーを、現実の生活のなかで実現させために必要なステップを考えることです。それによって、最も良い結果に至るためのストーリーにより近づきます。

さらにもう一つのステップとして、そのストーリーが実現する根拠と逆に実現しない根拠を考えてください。それを踏まえて、さらに次の自分の認知の歪みに気付きそれに対処するための第四の質問に進みます。

その第四の質問は、本当に自分が考えているような悪いことの起きる根拠の検討のための質問です。その質問は、二つあります。

一つは、「本当に自分が考えているような悪いことの起きる根拠と、それを否定する根拠の%は?」という質問です。この質問に対して、本当に自分が考えているような悪いことの起きるのは60%で、それを否定する根拠は40%のように回答してください。

もう一つの質問は、「本当に自分が考えているような悪いことの起きる根拠のポイントと、それを否定する根拠のポイントは?」という、質問です。

この二つの質問は、本当に自分が考えているような悪いことが起きるかを客観的に考えるためのものです。

第五の質問は、「本当に自分が考えているような悪いことの起きなかったことは何回ぐらいありますか?」そして、「その例を述べてください?」という質問です。

さらにその自分が考えているような悪いことの、持つパターンも考えてください。それにより、自分が考えているような悪いことの非現実性に接近します。

第六の質問は、自分の不安に対する客観的な判断をそくして、最悪の結果に至るものとして考えがちな認知を修正するためのものです。それは四種類あります。

その質問の一つは、「あなたの心配していることは本質的な問題ですか、それとも起きたら困るぐらいのことですか?」と、いうものです。この質問によって、自分自身の心配を客観的にみたてるのです。

次の質問は、「あなたの心配していることの、現実に起きる確率はどれぐらいですか?」というものです。

たとえば航空機事故を恐れて飛行機に乗れない人は、具体的な確率を調べてください。これにより、その不安の現実の可能性を知ると同時に、自分の不安の非現実性を客観化するのです。

第三の質問は、「あなたは、心配事の坂を転げ落ちていませんか?」と、いうものです。
最初は小さな心配であるものが、心配事の坂を転げ落ちてストップできなくなっていることは多いのです。

第6の質問の最後の質問を述べます。
それは「あなたは、わざわいの落とし穴に落ちることを恐れていませんか?」と、いうものです。さらにその落とし穴は家の床が抜け落ちるようなことなのか、それとも階段を踏み外すようなことなのかも考えてください。

前者の落とし穴が家の床が抜け落ちるようなことである場合は、神経症的な非生産的な不安であることが多いのです。後者の階段を踏み外すような不安は、普通の心配である場合が多いのです。

第7の質問を述べます。
それは「あなたの心配していることが本当に起きたら、どのようにそれに対処しますか?」と、いうものです。このようにあらかじめ自分で、対処法を考えておくのです。それだけで、気持ちの切りかえになる人もいます。

第8の質問はあなたと同じような心配をしている人に、あなたはその人にも自分と同じように悩むことを勧めるかどうか、ということです。そしてそのための、アドバイスの方法があります。

それはあなたの親友に対してアドバイスしたり、仮想的なAさんに対してアドバイスしたりするという形式を取るものです。

親友に対するアドバイスは、次のものです。
「もしあなたの親友があなたと同じ不安に陥りとても困っていたら、どのようなアドバイスをしますか?」この方法により、自分の心配を客観的に考えるのです。

仮想的なAさんに対する、アドバイスを述べます。
いま、自分と同じようなAさんという人がいるとします。そしてその、「Aさんがあなたに、あなたと同じような心配を相談したらどのようなアドバイスをしますか?」と、いうものです。

この親友や仮想的なAさんに対するアドバイスと、あなたが自分自身に対して行っているアドバイスは異なることが多いのです。多くの場合、神経症の人は自分自身に対するアドバイスのほうが厳しいものになっています。それがあなたのお困りのことの、本当の理由です。

神経症の人はものごとがスムーズに進まない時に、自分自身に対して必要以上に強い責任感や義務感を感じてしまいます。その結果、こころも強い責任感や義務感に拘束されてスムーズに動かなくなってしまいます。正確には、これが神経症の本当の理由です。

第9の質問を述べます。神経症の人はこころのどこかで、自分の心配は本当は心配する必要のないことであることに気付いています。それを考えていくのが、第9の質問です。

くり返しになりますが神経症の人はこころのどこかで、自分の心配は本当は心配する必要のないことであることに気付いています。それを考えていくには、「~という心配は、たいしたことではない」という質問が必要です。

これは、鍵を掛け忘れたかもしれないと心配している人は「鍵を掛け忘れたかもしれないという心配は、たいしたことではない」と、自分に問い掛けるのです。それに対して、「今まで鍵の掛け忘れはまずなかったし、あっても泥棒は入らなかった」というように、回答します。

以上が、神経症の「強迫行為のない強迫観念」を解決する10種類の認知療法の第一の方法です。次から、神経症の「強迫行為のない強迫観念」を解決する10種類の認知療法の次の方法を述べます。

これから、次の第二の方法を述べます。この方法からは、第一の方法の9種類の質問を深める構成になっています。その第二の方法は、「自分の心配していることの起きる現実の確率を考える」です。

次にモデルにより具体的に述べます。この人はテレビで、サラ金被害者の報道を見ました。それから自分も、お金に困るようになるかもしれないと心配でしょうがなくなりました。この人のケースでは、先ずその不安が起きない根拠の確率を考えました。そこから逆に、心配していることの現実に起きる確率を考えました。

具体的に、お金に困るようにならない3項目の確率を考えてみたのです。その3項目はその人自身の収入、支出、貯金に関するものです。先ずこの3項目の確率を考えて、そこから逆に自分の心配していることの起きる現実の確率を考えたのです。

お金に困るようにならないために必要なその人自身の収入に関しては、本人はこのまま安定的な所得があり、そしてその安定的な所得の続く確率を考えました。

お金に困るようにならないために必要なその人自身の支出に関しては、「このままお金を計画的に使い、その計画性の続く確率」を考えました。

お金に困るようにならないために必要なその人自身の貯金に関しては、「このまま計画的に貯金をし、その貯金の続く確率」を考えました。

その結果、この人の収入、支出、貯金に関する3項目は将来的にも安定したものでした。
よって逆に考えれば将来、お金に困るようになることはないという事実はスムーズに受け入られました。自分の心配していることの起きる現実の確率は、まずなかったのです。これがその人の、認知を修正したのです。

次は、神経症の「強迫行為のない強迫観念」を解決する10種類の認知療法の第三の方法を述べます。

「自分の心配していることの起きる現実の確率を考える」ときに、先ず逆に考えてそこから認知を修正しました。それは神経症の人は、自分自身の心配に対する執着が強いがゆえに現実の判断ができないからです。次の第三の方法も、基本的にはそれと同じ発想によります。

その方法は、傾きがちな現実判断を修正するものです。よって現実に起こりえる最悪の結果、それと逆の最良の結果、最も妥当な結果を考えるのです。

たとえば受験生であれば、テストでミスをすると考えがちです。しかし、その逆もあります。ミスをしないこともありますし、さらには問題によってはミスを二重にしたことにより正解になることもあります。最も妥当なことは、限りなくミスをしないように気をつけてミスを減らすことです。

お金に困るようになるかもしれないと心配でしょうがない人のケースでは、最悪の結果はホームレスのようになる事でした。逆に最良の結果は、株や不動産に投資して資産家になる事でした。

最もありそうな妥当な結果は、「こつこつ貯金をして質素な生活をおくる」でした。
この妥当な結果を考えたことを通して、ホームレスのようになる事は心配から消えました。

次の第四の方法は、第三の方法と同じ方向へ進みます。即ち神経症の人の心配に対する執着を修正するために、今とは異なる可能性を考えるのです。具体的にはその第四の方法は神経症の人の心配に対する執着を修正するために、「神経症の人の心配が良い方向へ進む物語」をつくるのです。

とかく人は物事を悪く考えがちです。そうすると、それがますます本当に思えてしまいます。それを修正するのです。その考えは自分の心の中に、物語としてしみこみがちです。そうすると、それはマイナス思考とむすび付きます。その結果、悪循環に陥ることになります。

この自分の心の中に物語として残りさらにマイナス思考とむすび付いたものは、我々は忘れたくても忘れられなくなります。それは心の中の物語は、一つの意味を持った生き物になり動き出すからです。

結局、その強迫観念を解決するためには、マイナス思考とむすび付いた心の中の物語を良いものに変えていかなければいけません。それが、この第四の「神経症の人の心配が良い方向へ進む物語」をつくることです。よってよい結果に至るためには、よい結果に至るベスト・ストーリこそが必要です。

モデルにより述べます。
以前、述べましたお金に困るようになるかもしれないと心配でしょうがない人のケースでも、ベスト・ストーリーを創作しました。ベスト・ストーリーと言っても、「宝くじや株で大金を得た」という、ストーリーではダメです。これでは夢物語です。現実性のある、着実なベスト・ストーリーでなければ効果はありません。即ちそのベスト・ストーリーは堅実に生活して、堅実に貯金するというストーリーであることこそが望ましいのです。

それを具体的に文章にしていくと、「私は必要以上の外食や、タクシーを控える。そうすれば、出費は抑えられる」と、いうものです。これは赤信号では、渡らないという内容です。

次は青信号です。 その青信号は「私は質素な生活をして、堅実に貯金する」という、ストーリーです。 赤信号青信号は、整いました。 次は、黄色の信号を述べます。

黄色の信号を、述べます。 黄色の信号は、「高額の買い物はよく考えてから購入し、衝動買いはしない」という、ストーリーです。 このストーリーによってその人は堅実な貯金と生活を続ければ、お金に困ることはないということを実感できました。ただし、ストーリーを補助する必要がある人もいます。それは現実の中で自分と同じような困難を、克服した人をさがしてお手本とすることです。そしてそれは、「神経症の人の心配が良い方向へ進む物語」を強くサポートします。

たとえば不登校や引きこもりの人は、それを克服した人の話を聞くことによって大きな効果をもたらします。よって不登校や引きこもりの人は、その人たちを対象としたグループ活動に参加されてもよいと思います。

次の第五の方法は、「自分の心配していることが本当に起きるとしたら、その根拠を考える」ことです。ある人はふとしたことを切っ掛けに、それとは直接関係のない恐怖感を持ちました。それは自分の家の下水が逆流して、東京湾の汚水を含んだ海水が家の中にあふれてしまうという恐怖感です。この強迫観念に苦しんだのです。確かに、自分の家の下水の逆流はありえます。それは多くの場合、下水が詰まるからです。これは比較的よくあることです。

さらにカウンセラーは、「東京湾の汚水を含んだ海水が家の中にあふれてしまうことはありえますか?」と、質問しました。ここからが、認知の修正のスタートです。この人は考え込みました。それはこの人の家は、高台にあったからです。けっして、東京湾の海水が逆流する場所には家はないのでした。

さらに認知の修正のために、「東京湾の汚水を含んだ海水が逆流して、家の中にあふれてしまったというニュースを、テレビで見たことはありますか?」と、質問しました。この人はまた考え込みました。それは、そのようなニュースをまだ見たことはないからです。

そこでカウンセラーは、「東京湾からあなたの家に海水が逆流して、あごひげあざらしのたまちゃんが出てきたら驚きますか?」と、尋ねました。その人は「驚きます!」と、答えました。それに続けてカウンセラーは、「あごひげあざらしのたまちゃんはあなたが待っても、待たなくても出てきますね。そうであればあなたのお困りのことは、心配してもしなくても起きます。心配とは、そういうものです。」と述べました。

さらに述べます。

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